2013年1月3日木曜日

花まんま/朱川 湊人・著

 ほとんどの本は家近くの地区センターで調達している。ランダムに選んだ本を読み感想をこの部ログに書いているわけだ。そしてたまにとんでもなくお気に入りの作家を発見することがある。
本日がまさにそれだ。全くの私好みの作風を描く作家に出会えた。
 幼い妹フミ子が熱を出し、完治した後、まるで別人に変わってしまった。彼女が言うには、自分は岐阜・彦根にすんでいて、エレベーターガールをしていたが、狂人に突然襲われ、この世を去った、喜代美だと言い出す。初めは言うことを信じなかったが、ある日、フミ子がどうしても彦根に行く、と言い出す。困った兄の俺は、しかたなく、フミ子のお供をし、生前の住処である家にたどり着く。そこには、娘の死を乗り越えられずにやせ細った喜代美の父の姿があった。しかし、フミ子にその父との対面を絶対に許さなかった俺の意見を受け入れる代わりに、フミ子から使者の役割を頼まれた俺は、その父と対面し、フミ子が作った「花まんま」-花で作ったおままごとのお弁当-を手渡す。それを受け取った父は、亡くなった喜代美からのメッセージと受け取り、残りの余生をしっかり過ごす事を受け入れる。
 昭和3,40年代の大阪を中心としたホラーともとれる不思議な話が展開される作風。しかし、怖さよりもその登場人物をに描写の中心がいき、心が温かくなる作風となっているところが、好きだ。
私の一押し作家の一人としたい。

2012年12月9日日曜日

夢食い魚のブルー・グッドバイ/玉岡かおる・著

 大学卒業間近のヤマトと桜子の恋物語。会えばいつもけんかばかりしている二人。しかし、二人とも相手を想いつつも一線を越えず、また越えられずにいた。やがて時は移り、桜子は就職活動を始める。しかし、ヤマトは一向に社会への準備をする気配もないどころか、暇さえあれば、釣りにでかける。やがて、二人はすれ違いをはじめる。桜子は航空会社の就職が決まり、東京行きが決定。ヤマトは逆に留年が決まり、釣りが高じて北海道までふらっと出かけてしまう。そんなヤマトの気持ちが全く理解できず、悩み傷つく桜子。桜子自身が何度もヤマトのことを諦めようとするが、なかなか踏み切れない。そして衝動的に北海道に渡り、ヤマトに気持ちをぶつけ、二人は結ばれるが、それを契機に桜子はヤマトとの別れを決意する。
 上記ストーリをメインにサブに母娘との確執、ヤマトが釣ってきたブラック・バスを無理やり桜子が飼い、水槽に囚われた魚を自身にみたてたり、古い世代の母、祖母ら女性をあてはめてみたりする物語がサイドストーリとしてある。

2012年11月20日火曜日

τ(タウ)になるまでまって/森 博嗣・著

 あまり面白くなかった。微妙にズレ、とか無駄を感じる。タイトルの「タウになるまで・・・」謎のラジオ番組の名だったが、直接物語に関係がないというのもびっくりする。さて、あらすじは・・・・
 超能力者 神居が住む伽羅離館は森の奥深くただ一軒建つ直方体の屋敷。ここに7人の男女が集められ、そして閉じ込められる。神居が預言した通り、外は雷が光り雨が降り、屋敷の全ての扉は開かなくなる。電話は屋外でないとつながらない。そんな中、神居が晩餐の後、超常現象を披露したあと、密室にて殺される。一同は窓を割り電話で救助を要請、警察とともに犀川教授も呼ばれ、あっという間に密室の謎を解き去っていく。トリックは扉は家庭用溶接機で外から溶接され、その時の光が雷と勘違い、窓を打つ雨はスプリンクラー。犯人は鉄格子のハマった窓を溶接機で取り去り、侵入し、神居を殺害後、窓から脱出、また溶接し、完全密室を作った、というもの。
 繰り返すが、微妙にずれがある。犯人は、7人のうち先に帰った一人かも?というあいまいな結末。かつ、神居のバックにさらに大物組織が絡む、などと匂わすのも最後の方に取ってつけたような。。。どうもシリーズ物らしく、途中で読んだ私には魅力半減、???が頭に残る結果となった。

2012年11月6日火曜日

海辺のカフカ/村上春樹・著

上下巻の大作。15歳の少年の不安定な心がやがて成長してゆくきっかけまでを描いた作品。
特に大げさな起承転結があるわけではなく、ストーリーそのものに意味があるというより、この物語の随所にみられる、ロマンティックと言って差し支えないほどの描写、登場人物の感じている心模様が切ないほど心にしみる。そちらにこそ、この本の意味があるように感じた。

 物語は2つの話が交互に語られ進行していく形を取る。一つは、 15歳の少年カフカは、幼い頃母に捨てられた記憶が心の重荷になっており、耐え切れず父のもとから姿を消し、四国高松にある甲村記念館に身を寄せる。そこでしりあう女性の体を持つ男性、大島、館長でありながら、若くして恋人をなくしたために心をその時に置いて来た佐伯と出会う。やがて佐伯が実母と知りながら愛し合う。
 もう一つは戦後まもなく不思議な現象に巻き込まれ、意識がもどった時には、字が全く読めなくなってしまった、ナカタ少年。現在では初老となるナカタさんは、猫と話すなど特殊な能力もみにつけていた。彼は、猫を殺すジョニー・ウォーカーを殺し(これはカフカの父と同一)さらに何かに惹き付けられる様に行動し、出会ったホシノと名乗る青年と四国を目指し旅を始める。
 この話が一つになる。ナカタさんは甲村記念館を訪ね、佐伯を死に至らしめる。ナカタさんも役目を全うしたかのように静かに死んでゆく。
 少年カフカは一方遠方にいて佐伯の死を知り、「かの地」に佐伯や本当にカフカが恋こがれる15歳の佐伯、さらに、自分を捨てた母佐伯に会いに行く。そこで佐伯に生きてもどってほしいと諭され、現実の人生に戻っていく。

2012年10月27日土曜日

ビートルズでもっと英会話/小島智・著

タイトルからも想像できる通りビートルズの曲の歌詞を英会話の教材にしたもの。とはいうものの、普通の英会話教材と違うのは、著者がビートルズを始め音楽ファンであること。そのため、英語歌詞の和訳が教科書的でなく、かなりビートルズに寄っている訳であるところが共感がもてる。どちらかというと、「英会話」でなく、リーディング力を身に付けるための読本、と位置付けが出来そうだ。文法の解説もビートルズを題材にしたためか、とても分かりやすく感じる。

2012年10月15日月曜日

英文法がわからない!?/中川信雄・編著

 いわゆる英文法の参考書、といった位置づけになると思うけど、単なる文法書とちょっと違い、Q&A方式になっているという事と普通の英文法書には載ってない文法的な事がかかれている。英語力をアップしたいけど、文法が苦手で、かつ、参考書などもってのほか、という方に薦めたい。例えば、冠詞。a,theと冠詞をつける、つけないなどの区別が読むと一目瞭然、とまでないかないまでも理解できる。aは、不特定、未知のものに、theは語源がthatであるから「あの、その」的意味になり、前述の、概知の特定のものにつける、そしてつける、つけないは数えられるかどうか、で選択される。これを読んでseaとthe seaの違いがわかった。seaは「一般的な海」となり、the seaは「特定の海」、つまり、思い出の海とか、話題上にすでに上っている特定の海岸地区、三浦海岸とか、逗子とか、そういう事。 だからマジックでいたずら書きをしたリンゴは、an appleではなく、the appleになります。 けっこう英語好きなら面白くためになる一冊だった。

2012年10月10日水曜日

怪談人恋坂/赤川次郎・著

 郁子の寝たきりの姉裕美子が病死した。葬儀の席、郁子の前に亡霊となって表れた裕美子は、自分は病死ではなく、殺されたのだ、そして、郁子は妹ではなく、裕美子が16歳の時、何者かに犯されできた自分の娘であると告げる。やがて郁子も16歳となり、姉の仇を討とうと操作を開始するが、その矢先次々と身の回りに不可解な死が連続する。最初は裕美子の死亡診断書を病死、と書いた老医師が、次いで裕美子を看護していた和代が、その当時裕美子の家庭教師だった梶原に殺される。裕美子の叔母靖枝は、自分の夫の死をきっかけに裕美子の霊を見て、一夜にして白髪に。。。
複雑に人間関係が入り組み、この本筋の他にも2重3重の別の筋が話しを複雑・怪奇にしている。
 裕美子は家の金を盗んだ梶原に口封じのために殺された。その現場を見ていた和代に梶原は、後年脅され続け、結局和代も殺してしまう。そして、その梶原も最後は気がふれた自分の妻に刺し殺される。一方、裕美子を孕ませたのは血の繋がりはないものの、実兄の桂介だった。それを知った、桂介の妻の沙織は、動転し、家の前の人恋坂で転げ落ちて死ぬ。


 最終的にはかなり陰惨なエンディングである。赤川のダークワールド全開作品。