2012年4月16日月曜日

黒い家/貴志祐介・著

小学生の菰田和也が自殺し、父親の重徳と一緒に死体を発見したのは昭和生命の若槻だった。ほどなく重徳から保険金請求がなされるものの、若槻は発見当時の重徳の表情から、直感的に保険金詐欺であることを感じ、独自に重徳の身辺調査に乗り出す。すると過去に幾度も詐欺の経歴があることが明らかになり、若槻は匿名で重徳の妻幸子に手紙を送る。しかし、黒幕は重徳ではなく妻の幸子の方だった。情性欠如者である幸子は自らの保険金受け取りを若槻が邪魔してると思い込み殺そうとたくらみ、また見境無く邪魔と感じる人間を次々と殺していく。幸子の自宅京都の「黒い家」に若槻の恋人恵が拉致された事を知り、幸子に見つかるも、間一髪のところで、恵を救出する事に成功する。しかし、殺人狂と化した幸子は行方をくらます。事件の影響も薄れ掛けた3週間後、幸子の巧みな戦略によって、若槻は深夜の昭和生命支社ビルに一人で孤立することになり、幸子と対峙を余儀なくされる。日本刀のような包丁を振りかざし、迫り来る幸子。右手を切られ、意識も薄れがちな若槻だが、消火器を使い、一撃で幸子の頭蓋骨を砕き、恐怖は去るのだった。
近年珍しくも無い保険金詐欺を題材に取り上げているが、幸子の常軌を逸した行動が恐怖を増徴するサイコスリラー。

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