2013年2月6日水曜日

億夜/髙樹のぶ子・著

 主人公沙織、その恋人竹雄、その弟光也。学生時代沙織は恋人の竹雄と婚約しながらも、光也を好きになり、裏切る。光也は兄を慕っており、必死になって自分の恋路を隠そうとするが、ついに兄竹雄のしるところとなり、光也は自殺する。25年後沙織は結婚し、死期間近い夫と暮らしていたが、そこにかつての恋人竹雄が突然あらわれる。二人はお互いを否定しつつも惹かれあうが、肉体関係はすれすれで回避されている状態。その後夫は死に、竹雄は妻から離婚を切り出され、ついには沙織のもとも去る。沙織は夫の死に憔悴しながらも、もどってくるという竹雄の言葉を笑って受け流しながら、それでも人は、死んだ者のためにも無様でも生きていくんだ、と心に思うのだった。

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