2012年3月25日日曜日

木漏れ日に泳ぐ魚/恩田陸・著

2011年12月30日
千尋と千明の男女二人が別れ、明日からは別々に生きる引越し前夜を舞台にした物語。2人は恋人同士ではなく、双子の兄弟。1年前に旅行に行った際、山岳ガイドの男が転落死した件でお互いに殺したのは、相手ではないかと疑っていた。そしてその男とは二人の実の父であった。父は二人の出生の事実を知る前に母と別れたのだったが、何らかの事情で二人の事を知ったようだった。しかし、二人とも殺してない事が判るが、新たな事実も判明する。それは二人が兄弟ではなく、従妹同士である事。それを直感した時二人に微妙な空気が広がる。二人共お互いを好きであったが、兄弟が故にその気持ちを抑え続け、押さえきれずにこうして今夜分かれることに決めたのだから。と同時に何故かいままで好きであった感情が嘘のように消滅してしまうのであった。又、千尋のみの父であった事が判明した山岳ガイドは実は再婚したての妻が自分の夫の素行から、今回引き受けた仕事が前妻の子供に会う事ではないのかと疑い、夫の後を追ってやってくる。それを知ったガイドは、がけ下の妻に向かって帰るように合図、必要以上に崖に近寄りすぎ転落した、という確信を得ながら、朝が空けていくのを知るのであった。
恩田陸の作品3作目だが、「夜のピクニック」だけが異色作だったようで、少しがっかりした。話としては面白いのだが、「夜の」が印象が強すぎなせいで色あせてしまう。

0 件のコメント:

コメントを投稿