2012年9月17日月曜日

カフカの外套/新井満・著

 同名タイトル作品を含めた全7編の短編。民主化革命ふきあれるプラハでカフカ好きな私は、かつてカフカが友人ヤノーホと歩いた道をたどってみる。その時、パンクファッションに身を包んだ若者がカフカの遺品と称して外套やペンなどをみせてくれる。しかし、その嘘を見抜くが、しかし、その嘘にだまされたかったという思い、そしてカフカの外套やペンを手に出来なかったという寂しさだけが残るのであった。 この作品以外は、逆に読み易く、私の趣味にあっていた、つまり、SF伝奇的な風合いが残る作品が多い、例えば、東南アジアの島にある最上級とされる、ホテルを探し続けて老人となり、やってきた少年もまたそのホテルを探しと言い自分とは反対方向に去っていく。その少年に探し始めた頃の自分を重ねる「アルカディアへの旅」 酒酔い運転により、即死、幽霊となった自分のこころ残りは娘だけ。その娘の枕元に立ち、自分の死を伝える。娘は理解し、悲しむ。その時酒酔い運転をし、自らも事故死した女の霊が現れ、詫びる。娘の願いは父との遊園地だった事を聞き、女の霊はそれをかなえる。深夜の遊園地はしかし、そうした幽霊達で溢れかえり、昼間のよう。そして彼らは中の良い夫婦のようにみえるのであった。「幽霊たちの遊園地」

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