2012年7月5日木曜日

熟れてゆく夏/藤堂志津子・著

裕福な独身夫人と仲良くなった律子は、バカンスに誘われる。それは夫人と若き愛人・紀夫とのカモフラージュでもあった。しかし、突然夫人の参加が遅れることになり、紀夫と律子が先行して行く事になった。そしてそれは、夫人のたくらみであった。紀夫と律子を結びつけ、夫人を交えて3人で性愛にひたるために。
男嫌いであった律子はしかし、反発しながらも次第に紀夫に惹かれていくのだったが、その夫人の計画を知って紀夫の言うとおり、お互いに仲良くなった振りをする。
律子は以前少女時代に親戚の2つ上の子、道子と3年ほど暮らした事があった。物静かな道子は律子の恰好の餌食であった。若く幼い律子はいたずらを繰り返し、言葉でいじめた。ふざけあっているうち、道子は律子のくすぐりを愛撫としてとらえ、性に目覚める。また当事者の律子は幼いながらも漠然と性的な興奮を道子が味わっている事を感じる。この記憶が女性との性的な興奮を蘇らせ、男をしりぞける原因でもあった。
紀夫と仲良くなったとみせかけ、遅れてきた夫人を出迎える律子。そして唐突に夫人に別れの言葉をあびせ、踵を返すのであった。

0 件のコメント:

コメントを投稿