2012年6月20日水曜日

鴨川ホルモー/万城目学・著

数あるサークルの中から、「京大青竜会」を選んだのは、安倍が一目ぼれをした早良京子がいたからであった。しかし、このサークルの実体は、「ホルモー」と呼ばれる競技であった。京都に古くから伝承されてきた「ホルモー」とは、オニと呼ばれる体長20cmほどの小人を闘わせるものであった。京大、立命館、京都産業大、そして龍谷大の4大学間で競われ、部員は1学年10名で、隔年しか新入生の勧誘はしない。1年目でオニを操る鬼語を取得、訓練し、2年目でホルモーを初体験し、3年目では対戦しつつも、新たな1年を教育する、というサイクルで動く。安倍は友人高村と1年次に鬼語の習得に励みながら、しかし、早良は同じ青竜会の同学年芦屋にとられてしまう。もとから虫の好かなかったことから、ホルモーは10名1チームから5名1チームへと分散して闘うことに。一方青竜会のもう一人の女性、楠木からも嫌われていたと感じていた安倍であったが、実は楠木が安倍を好きであったことがわかり、楠木のために優勝を誓う。もっとも、ホルモーを操らせたら天賦の才のあることがわかった楠木が安倍を始め、皆を引っ張る形でついに優勝を果たす。そして、3年生の春、安倍と楠木が揃って鴨川のほとりを歩き、新たな新入生を獲得すべく、歩みだした。
 あらすじを書くと、こうもおもしろくなくなってしまうが、2006年度「本の雑誌」第一位を獲得。実際にもとてもおもしろかった。

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