2012年6月28日木曜日

六月の家/夫馬基彦・著

雑誌カメラマンの村石は3年前妻と離婚し、現在は一人暮らし。とはいえ寮生活をおくる娘の星子は定期的に村石の元を尋ね、同じマンションの一階上に住む多加子と半同棲を送るのんびりした身分。ある日些細な事で多加子と口論し、数日会わなくなった。多加子の方からジョギングを一緒に走って欲しいという口実を契機に仲直りをする。 
 文章の内容を要約するとこれだけの事。もちろん文学なので、その裏を読み取らなければ。6月の家とは、近所にできた南欧風のしゃれた家のこと。 この家に住むのはてっきり若夫婦と思ったら老年の仲睦まじい夫婦であり、マンションから見える小さな畑を耕す老人の後をつけ、彼の自宅をさぐったら、大きな屋敷の持ち主であったにも関わらず、老人本人は、その隣の旧本宅らしき所に頑固さゆえに一人住まい。息子達は豪邸の方で暮らしているという事情。そして、村石達の同じマンションの2階と3階で、行き来する同棲的な生活を送る自分らの住宅事情。これらを対比して、様々な人間模様が人の数だけある、という事を述べているようだ。  

 相変わらず、「文学」は難しく、取っ掛かりがない。

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