2012年8月6日月曜日

タイム・スリップ・コンビナート/笙野頼子・著

ストーリ性の全くない、文学、とも呼びにくい作品。
突然、知らない人から電話で「海芝浦」に行けと命ぜられ、都立家政からJR鶴見駅、を経て鶴見線へ。本数の少なさで困難しながら、訪れた各駅の佇まいが70年代の高度成長期の雰囲気をたずさえ主人公を妄想の世界で誘う「タイムスリップ・コンビナート」電車は実は動いておらず、走り去る車窓の景色の実は紛い物である、という妄想からどんどん話はエスカレートして行く。下落合より先に土地はなく、びりっと音をたてて大地がきりとらる「下落合の向こう」 捨て猫を育てるが飼い主が見つかり、ひきとられる。その後部屋の蚤が次第に大きくなり、ついには人間の赤ん坊ほどの大きさになる。主人公はそれでも血を吸われ続けるが、無気力になり、動こうとしない、部屋の片付けも手につかず、荒れ放題に。ついに決心をし、部屋を片付け人間大の蚤を花切りばさみで切り殺しごみ箱に。「シビレル夢ノ水」 くどいがストーリー性は全くない。

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