2012年8月9日木曜日

ロココ町/島田雅彦・著

貧乏ではあるが、コンピュータのバグをほんの短い時間で見つけ出す事ができる能力を持つB君が最近めっきり飲み仲間の元に姿を見せなくなって数ヶ月が経つ。そこで主人公の僕は彼の住所を頼りにB君をさがすことにした。彼の住まいは「ロココ町」。地図上で見ても近隣の人に聞いてもはっきりと行き方がわからないロココ町。そこには人を童心に帰らせ、魂を開放させてくれる何かがあった。危うく全ての常識や理念を取り外されそうになり、退却を余儀なくされた僕だが、妻がロココ町に蒸発逃亡したときいて、已む無く再度ロココ町に潜入を試みる。そして、そこの住民達を話をするうち、真にロココ町を知りたければ「遺伝子分析」を受けるよう勧められる。実際に受けてみると、それは一度死亡し、魂が肉体を離れたのち、遺伝子の組み換えを行ない、再度肉体に魂を送りなおす作業だった。そしてその時魂は浮遊し、過去へも未来へも、そして地球外へも、あるは電話線の中に侵入し、ある自宅へ、その中に住む人間の中に空気となって入り込み、その人物そのものになったりした。その過程において、ぼくはロココ町のメインコンピュータのエフェメラ2014と一体となったB君との会話にせいこうする。B君はエフェメラ2014と同期を果たし、別次元へと移住したのだった。そして当の僕はすっかりロココ町が気に入り、ここでであった錯美とここでしばらく暮らしてみようと思うのだった。

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