2012年3月11日日曜日

そして誰かいなくなった/夏樹静子・著

2010年6月14日
 アガザ・クリスティ原作の「そして誰もいなくなった」の筋書きに酷似した事件がおこる。  豪華クルーザー『インディアナ号』に乗り込んだクルーを含む7名。出航後、まもなく、一人ずつ何者かに殺されてゆく。太平洋上に浮かぶ密室、さらに一人、また一人と殺され、残った人々は次第に恐怖に駆られてゆく。最後に残ったのは、この本の主人公である桶谷遥。しかしただ一人残された遥も精神的においつめられ海に身を投げて自殺する。クリスティの元祖の方は、殺された人々のうち一人だけが芝居をしていたが、こちらは、遥以外の人物6名が結託して、遥一人を死に至らしめるための壮大な芝居であった。残りの6名は、遥の父が経営するホテル・コスモポリタンで火災に会い命を落とした人々の肉親であった。ラストでは、海に投身自殺を図った遥が岸に打ち上げられ、奇跡的に命をとりとめるが、娘の自殺を知った父の方が倒れ、心臓発作で死亡、という決着となっている。

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