2012年3月29日木曜日

安土城幻記/阿刀田高・著

以前京都の大徳寺で狩野永徳が描いた山水花鳥図を見て以来、その独特な才能に魅入られてしまった私は、その後、夫婦でのフランス旅行で狩野永徳にまつわる依頼を、現地で親しくなったツアーコンダクターのノエルから受ける。その依頼とは、織田信長が狩野永徳に描かせた安土城遠映を2双開きの屏風があり、これはその天正少年使節団の手によって、ローマ法王に献上され、その後行方不明になったが、ノエルはこれを以前見たことがあり、しかし、この絵が本物かどうか資料が乏しいので、日本でもう少し詳しく調べてほしい、というものだった。私は承諾し、早速調査を開始するが、次第に、この絵に近づく物は不幸や死が訪れる事がわかる。古くは信長が数十日後に本能寺にて自害、そして、私の妻が病死、安土の地で知り合った永徳に詳しい太田が事故死、ノエルの依頼でイタリアにその絵があると見に行った同僚の山形が急死、そして私自身にも病魔が襲い掛かり死ぬ。

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