2012年3月18日日曜日

夢の島/日野啓三・著

2011年8月5日
1985年作品。
境昭三は建設会社に勤務する妻をなくした50代。東京に林立する高層ビルをながめるのも好きだが東京湾にできた埋立地にも哀愁にもにた不思議な感情を覚え、惹かれて行く。埋立地を散策するうち、一人の女性と出会う。林陽子は昼間をマネキン相手のショウウィンドウディスプレイの仕事をし、夜になると別人格が現れ大型バイクをあやつる妖艶な女になる。夜の陽子とその弟に連れられ、ある日、昭三はお台場にわたる。(お台場は現在のものではなく、ペリー来航時、幕府が作り、使われないまま廃墟と化した歴史のもの)そこでは、東京とは思えない原生林が生い茂り、野鳥他の動物の棲みかとなっていた。2回目のお台場に上陸の際、釣り糸に足をからませ、宙吊りになりしんだサギを弔い埋めるために木に登った昭三は足を滑らせ、自らが逆さづりになり、命を落とし、それを見た陽子の人格が一つにむすびつく。病気もよくなった陽子と弟はまたいつかお台場に渡らねばと思うのであった。

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