2012年3月11日日曜日

温室デイズ/瀬尾まいこ・著

2010年9月26日
 中学の暴力やいじめなどの廃頽を描く小説。主人公をみちると優子に置き、各章ごとに二人の視線になって語られているのが、特徴的。優子、みちる、そして不良中の不良である伊佐瞬を中心に物語りが描かれている。
優子は小学校の時、クラスからいじめを受け、小学校残り少しで別の小学校に移っていった経緯を持つ。この中学では、みちると友人であるが、みちるのいじめを期に、不登校となり、長く教室を休むことになる。一方みちるは、小学校では、いじめの先頭に立つリーダー的であり優子をいじめていた経緯を持つ。中学校では、逆に自身がいじめの対象となるが、逃げ出すこともせず、日々教室に通っていた。
「いじめ」のメカニズムというか、対応の仕方、「にげていい」のか、「逃げない」のか、どちらが正しいとか、正しくないとか、そういった観点ではなく、どちらにしても、「いじめ」のもたらす大変さが描かれている。
本書は、学校破壊なども含め、学級崩壊を描いているが、タイトルである「温室」とは、この中学時代が社会と比べると「温室」である、という意味。

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