2012年3月18日日曜日

木曜組曲/恩田 陸・著

2011年9月23日
大好きな著者の2冊目の本。女性作家、編集者が6人集まり、毎年寒い時期の木曜日をはさむ3日間、亡き大作家であり親戚であった時子を偲ぶ会が行われていた。今年も同じ顔ぶれが揃うが時子を殺した人間がいる、という正体不明の人物からの花束によって、彼女達はお互いに殺人者を推理しあう謎解き合戦がくりひろげられる。当初の自殺で事件は解決していたが、この中の誰もが、それなりの事情をかかえ、時子を尊敬しつつ、憎しみを抱いていた。そんな中、推理していくと、時子自身も他の集う者たちを毒殺しようとした経緯がわかり、予想外の方向に発展していく。最後は、時子が皆を殺すために用意した毒薬の溶けた水を偶然が重なり、摩り替わり、摩り替わった水をそうとは知らず、時子自身が飲み干す事になったいきさつにたどりつく。各々が偶然にも殺人者であった事を胸に秘め、めいめいが帰路につくが、その館の女主人であるえい子だけが、偶然とはいえ、とっさに、時子にわからぬように、そして取り替える事になってしまった女性にも気づかれずに水を取り替えるようにしむけた事を回想する。どんでん返し的な要素がふんだんにあり、これが落ちとおもいきや、さらなる落ちが、、、のようにさすが、恩田陸、と思う。しかし「夜のピクニック」のような青春の1ページを綴った話を期待していただけに、少々期待はずれの感があった。

0 件のコメント:

コメントを投稿