2012年3月18日日曜日

虹/原田康子・著

2011年4月27日
 1979年の作品。
三千子は阿寒湖にて自殺未遂の男、ジャズピアニストの文夫を助け、再度の自殺を図らないか様子を見ているうちにほのかな好意を抱く。また文夫を見張ってくれるよう三千子に依頼をしたジャズサックスの片田から、求婚される。片田をまた好ましく思っていたが、文夫への好意が愛と知って、片田との別れを選び、片田もまた文夫への気持ちを知って、身を引く事を決意する。自殺の復帰コンサートを終えた文夫はしかし、発作的に自殺してしまう。事後、数ヶ月して、三千子は久しぶりに片田と会う。文夫の回想で話は終わる。
 ジャズプレイヤーとの恋、の設定だが、ジャズ的な話はほとんどない。加えて、人間の感情を綴る文がほとんどなく、いまいち感情移入がしにくい。恋こがれる、というより、自分の気持ちが自分でわからない主人公が、なんとなく、出来事にふりまわされながら、その恋を選ぶような感じ。

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