2012年3月4日日曜日

星々の舟/村山由佳・著

2010年5月23日
 全6編からなる短編集。タイトル話は無く、各々のストーリを総称する意味でついている。面白いのは、それぞれの短編が一つの家族の一員を主人公として展開しており、全く別の短編、というわけではない。 
 生まれた東京を捨て、暁が札幌に渡り数十年が過ぎた。その間、一度も東京にもどったことはない。そんな時、突然末の妹から連絡が入り、母の危篤を知らせる。母といっても義理母であるが、暁を本当の息子のように接してくれた人だ。あの家で唯一会いたい人に死期が迫っている。『雪虫』
 自他ともに認める良縁を断った沙恵。それには、高校の時から思いつめていた人の面影がちらついていたからだ。そのころ2年間ほど、お互いに愛しあった仲であったのだが、お互いが肉親で兄妹であることがわかり、突然の別れとなった。しかし、理性で判っていても、体が割り切れない、心が未だに兄を求めていた。『ひとりしずか』 他4編。

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