2012年3月29日木曜日

水曜の朝、午前三時/蓮見圭一・著

45歳の若さで病死した女性が娘のために残した4巻のテープを、娘の夫である語りべが文章にまとめた、という設定で始まる。1970年大坂万博でコンパニオンを務めた直美が落ちた恋の相手は、万博関係者の中でも女性から一番人気の高かった臼井であった。激しく恋に落ち、やがて結婚の話まででかけるころ、臼井が実は北朝鮮の工作員であることがわかり、家族も反対、当の本人も怖くなり、臼井の前から逃げるようにして大坂をあとに。その後見合い結婚をし、娘を出産。しかし、臼井への想いは絶ちがたく、年に数度あっていた。もし、あの時、あの人との人生を選んでいたなら。。そういった思いや娘に向けての人生応援の意味も託してのテープだった。70年代。日本にとってとても意味のある、もはや戦後ではない、これから来る高度経済成長前独特の、誰もが何かを探していたたくましい時代背景がよく伝わる、しかし、切ない恋愛告白小節

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