2012年3月18日日曜日

ひとがた流し/北村薫・著

2011年3月26日
 前半は、少し、「渡る世間~」的な雰囲気があったが、後半は感動を持って読み終えた。
千波はアナウンサー、牧子は小説家、美々は編集者、この3人は幼馴染。美々のだんなは写真家、牧子はばつ一、千波は仕事一筋の結婚暦なし。日常に起こりえるエピソードが綴られていく。牧子の娘さきは大学に受かり、一人暮らしを始める。牧子は寂しく思う。美々の娘玲は、夫の実の子ではない、それを偶然玲本人が知ってしまう。千波はやっとやってきたアンカーの座を自らの病気のせいであきらめなければならなくなる。しかもそれは不治の病であった。と同時にプロポーズを受ける。残り少ない余生と知りながら、結婚を承諾する。だんだん衰弱していく千波、中学の頃牧子と冒険に出た夜の変電所の話、輝く昔の思い出、もうどんなに望んでももどることのできない夏。物語はこれらの切ない、しかし、輝く思い出とともに千波の死を迎え、それを送る残された人の思いを綴って終わる。

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