2012年3月18日日曜日

疾走/重松 清・著

2011年9月2日
シュウジと呼ばれる主人公の15歳という短すぎる一生を綴った小説。悲惨、陰鬱、不幸から来る絶望、やるせなさなどがいっぱいにつまった、重苦しい話であるが、かろうじて著者の筆力で先を読ませる。シュウジの兄シュウイチは中学は成績優秀だが、高校に入って落ちこぼれる。カンニングがばれ、高校に行かなくなる。あげく夜徘徊し、放火をする。つかまり街に知れることとなり、兄のせいで一家は離散、シュウジは小学高学年から中学在学中ずっといじめつづけられる。一方多感な青春時代であり、アカネに惹かれアカネに誘われるままにベッドを共にし、アカネを妊娠させる。アカネの亭主の極道にばれることになり、シュウジは極道からリンチ的な性的虐待を受け、アカネも同様の扱いを受ける中、極道を手にかけ、殺してしまう。シュウジは東京に逃げ、アカネは警察に自首する。逃げた先の新聞配達店でも給料詐取や、親しげに近寄ってきた同僚の老人にもだまされ、給料を全額盗まれる。全てのタイプの不幸をしょってきたシュウジにとっては、またおこった不幸。それでも人を信じ、繋がっていたい、という気持ちがあり、小学時代から好きだったエリを頼り、会う。エリは叔父に性的暴行を受けており、エリは自虐的になっていた。その現場にシュウジは行き、叔父を刺してしまう。そしてエリと一緒に逃亡する。逃亡のさなか、警官の放った銃弾に倒れ、生涯を終える。
総ページ数500近くの1ページ2段形式の超長編小説

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