2012年3月11日日曜日

プリンセス・トヨトミ/万城目学・著

2010年11月4日 
日本国内に大阪国という独立国がある、という物語設定。ただし、普段は日本の法律に従い、日本人として生きている、大阪国という独立したことと言えば、その象徴とも言える大阪国議事堂が、大阪城天守閣の地下にある、という事実。しかもそれは日本の国会議事堂をまねた、というより、大阪国議事堂の方がオリジナルであるという設定。建国の意義は、豊臣家の末裔である「王女」を守ること。ひとたび王女の身に何かあると、大阪市民の男性200万人が決起する。
王女は、真田大輔の幼馴染の茶子。大輔は守る立場にありながら、茶子に守られてばかりいる。ある日、大輔をいじめる蜂須賀の親の暴力団組事務所に殴りこみに行く茶子。それを会計検査院の鳥居が警察に通報し、茶子は警察に連行される。それを知った大輔の父幸一(大阪国の大統領)は、会計検査院が茶子を監禁したとして、大阪国民に総決起を呼びかける。
大阪国の人々が、総決起のサインを見て行動に移す描写がわくわくする。
このように、ストーリーを淡々と語ると味気ないが、SFというよりハートウォーミングに範疇したい作品。大阪国の存在は、父親を亡くした男しかわからない、親から子へ脈々と受け継がれていくもの、だから、秘密は決して外にもれない。
大阪国は、会計検査院の松平のの徹底した追及に滅亡を覚悟したが、松平自身、大阪出身であり、存命中、仲の悪かった父が末期に松平に何かを伝えようとしていた事が思い出され、松平は不問に伏す事に決めた。こうして、大阪国の存在は公にならずにすんだ。
ストーリの展開、設定に少々疑問符が残る箇所もあるが、おおむね楽しめた作品。

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