2012年3月4日日曜日

黄色い雨/ 草薙 渉・著

2010年4月26日(月)
星尾が目をさますと、新幹線「のぞみ21号」の車内だった。しかし、新幹線は駅でもないところで、停車したまま動こうとしない。それどころか、列車内には星尾の他、誰も乗車していなかった。駅を出発する時には半分ほどの席は人で埋まっていたというのに。よく見ると、あちこちの座席に人の形をした、あたかも人だけ抜いたような形に洋服が落ちている。スーツの上下の中をのぞくと、パンツやシャツ、靴下に靴まである。新幹線を飛び降り、最寄の町に助けを呼びにはいったが、そこでも誰もいなかった。

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